スポーツによる口やアゴなどへのケガには、口の周りを切ったり、歯がかけたり、抜けてしまったりすることがあります。
もっとひどくなるとアゴの骨が折れてしまったり、アゴの関節が痛くなり、口があかなくなったりします。
さらに、めまいやふらつき、時には意識消失を起こし、いわゆる脳震盪に及ぶこともあります。
このようなスポーツによるケガは、特に選手同士または用具など、ダメージを与える原因となりうるものとの接触を伴う可能性のあるコンタクトスポーツ、例えばラグビー、サッカー、アメリカンフットボール、バスケットボール、野球、ラクロス、相撲、空手、ボクシングのようなスポーツに多く見られます。
■コンタクトスポーツに多いアゴの骨折
このような、口やアゴなどの領域を、スポーツによるケガから保護する装置として、マウスガードがあります。
ボクシングでよくいわれるマウスピースのことです。
このマウスガードは、歴史的には1913年ごろイギリスのボクシング選手が、歯科医師の協力を得て考え出され使われたのが始まりといわれています。
その後、アメリカにおいてフットボールを中心にその効果が認められ、多くのコンタクトスポーツで使用されています。
児童から成人まで、スポーツを楽しむには、まず安全であることが重要であり、口やアゴなどへのケガから守るマウスガードの使用は大変意義あることになります。
■マウスガードは、スポーツパフォーマンスにも効果的
マウスガードは口やアゴなどへのケガから保護するだけでなく、実は、全身運動時にマウスガードを装着し、噛みしめることで、首周りの筋肉の活動を上げることができます。
首を少しでも強く固定することで、脳へのダメージを軽減したり、頚椎の損傷を軽減させられる効果が期待できます。
また、スポーツ選手にとってバランスの感覚は、スポーツパフォーマンスに非常に重要な意味を持ちます。
咬み合わせが悪く、アゴの位置も不安定な状態の場合、咬む筋肉に過度な緊張が起き、身体のバランスを崩すことが考えられます。
またマウスガードの装着による強い咬みしめは、脳の中で運動を司る神経細胞の働きを興奮させ、その興奮がさらに他に拡延し、体を運動させる細胞の活動を高めるといわれています。
■マウスガードは、脳震盪の発生を抑制
コンタクトスポーツでは、年間20人に1人は脳震盪を経験し、
一度経験すると約4倍の確率で再度経験するともいわれます。
脳へのダメージや脳震盪を繰り返すと、加齢とともに将来その影響がどのような症状として出るのか、今大きな問題となりつつあります。
アメリカでは大学や高校のフットボール選手にマウスガードを使わせたところ、脳震盪の発生が激減したという報告もあります。
マウスガードには、スポーツ用品店で購入できるものと、歯科医師が提供するカスタムメイドに分けられます。
■スポーツ用品店で購入できるもの
■歯科医師の提供によるカスタムメイドタイプ
このタイプのマウスガードは、適合性に優れるため、他のタイプに比べ違和感が少なく、設計における製作時の自由度に答えることも可能となります。
そして、なんといっても専門医によって正しい咬み合わせやアゴの位置を付与してもらえることです。
制作方法には下記の3つのタイプがあります。
カスタムメイドの3つのタイプ
■市販品とカスタムメイドではここが違う!
市販品のマウスガードは、選手自身が使用説明書を見ながら作るため、適切な形態が付与できず、口をあけるとすぐ落ちてしまったり、気持ちが悪く話が出来無いなどと様々な問題が起こります。また咬み合わせやアゴの位置がずれた不適切なものができてしまいます。
しかし、歯科医師によるカスタムメイドタイプは、選手個々人の口の中の状態に合ったものを作れるため、違和感の少ない適合性のよいものができます。
※スポーツをする人にむし歯や歯周病または歯の欠損があったりすると、十分に栄養が取れないばかりか、能力が十分に発揮できず、また競技に集中できないことがあります。
正しい口腔管理のためにも、定期的な歯科検診を受けましょう。
歯科医は、受診者がマウスガードを装着するために必要な情報を提供できますので、
不明な点や疑問は遠慮なくお尋ねください。
弊社は、東京歯科大学スポーツ歯学研究室主任 石上恵一教授をアドバイザーとしてご協力頂いております。
資料提供:石上恵一(東京歯科大学教授 スポーツ歯科研究室主任)
顎関節症の初期治療に用いる。
上顎に装着する場合が多いが、稀に下顎に用いることもある。
ナイトガードとは、歯ぎしりの治療の際に使用されるマウスピースです。
歯軋りによる不快な音を防止する効果もあります。
夜寝る時に透明のプラスチック製のマウスピース(ナイトガード)を装着してもらうことによって、歯やあごにかかる負担を軽減し、歯軋り(歯ぎしり)の症状を和らげます。起床時にあごが疲れている、顎関節が痛い、もしくはこめかみなどに痛みを感じる人は使用すると改善される場合もあります。
スリープスプリントとは、睡眠時無呼吸症候群の歯科的な治療器具です。
睡眠時に着用して、下顎を前進させた状態を固定することにより、上気道の閉塞を防ぐ効果があります。夜間、寝るときに口に装着するだけなので、簡便ですぐに治療が始められます。外科的治療のように体に傷をつけることがない保存療法で、薬物療法のように副作用の心配もありません。安全で体に優しい治療法です。
下記条件に当てはまる方はスリープスプリントによる治療は効果が望めません。
・ご自身の歯が20本未満の方
・歯周病のひどい方
・顎が前方に8ミリ以上移動できない方
・顎関節に異常がある方
・鼻づまりがひどく、鼻呼吸が十分にできない方
・寝つきが悪く神経質な方
・扁桃の肥大が著しい方や口蓋垂が大きい方
・18歳未満の方